ザ・セカンド・マシン・エイジを読みました。
434ページの本ですがとても読みやすくすらすら読めて面白かったです。
コンピュータはどんどん進化し、そのコンピュータに雇用が奪われていく、その時に人間はどうしたらいいのかを色んな調査からたくさんのことを教えてくれます。
私たちに今後どうしていくのか早く考えなさいといわれているような本です。
目次
いま人類は、「セカンド・マシン・エイジ」を迎えている
十八世紀後半に現れた突然の変化とは産業革命だ。
産業革命は、機械工学、科学、冶金学などの分野でほぼ同時期に起きた発展の集大成である。
産業革命においていちばん重要な役割を果たした技術は蒸気機関だが、ヒトと家畜の力の限界を突破し、大量のエネルギーを思いのままに生み出すことを可能にし、工場と大量生産に、鉄道と大量輸送につながった。
産業革命は人類の歴史において「第一機械時代」(ファースト・マシン・エイジ)を導く扉を開いたのである。
そしていま人類は、「第二機械時代」(セカンド・マシン・エイジ)を迎えている。コンピュータをはじめとするデジタル機器は、「目的に向けて環境を制御する頭脳の能力」を発揮する。かつて蒸気機関が肉体労働において実現したことを、知的労働において実現するといえるだろう。コンピュータは人間の知的能力の限界を吹き飛ばし、人類を新たな領域に連れて行こうとしている。
IBMのディープブルーがチェスで人間に勝利したのを始まりとして、コンピュータの進化が特に早くなってきているとわたしも感じる。
3Dプリンターを使って銃が作れるほどになり。
Googleは囲碁で人間に勝利し、車の自動運転までできるようになっている。
iPhoneはsiriで人間と話せるようになり、Amazonの倉庫ではロボットが働いている。
IBMのワトソンはクイズでも人間に勝てた。
コンピュータはまだまだ進化しそうだ。
Amazonの倉庫で働くロボット達
参考:https://www.amazonrobotics.com/#/
セカンド・マシン・エイジに必要な重みはAIとネットワーク
人工知能(AI)にできることは増え続け、コストは下がり続け、結果はどんどんよくなっている。
人工知能は、生活の質を改善するだけでなく、命そのものを救う役にも立てる。たとえばIBMのワトソンは、医療現場でも活躍する見通しだ。
医者は知識を大量に身につけ経験を重ねたうえで診断に臨むわけだが、スーパーコンピュータのほうは、世界中の信頼できる医療情報すべてを取り込み、患者の症状や病歴や検査結果のをそのデータベースと称号して診断を下し、治療プランを立てる。現代の医療分野では膨大な量の情報が次々に生み出されていることを考えると、こうした手法はきわめて有用だ。
AIはコンピュータの得意分野といえる。データを蓄えるのはお手のもんだ。それを医療分野に適用しようとしているIBMのチームは素晴らしい働きをしてるだろう。是非とも現在の状況などを公開してほしい。
セカンド・マシン・エイジの進行を加速させるもう一つの出来事は、この地球に住む多くの人々がデジタル・ネットワークで相互に結ばれることである。
考えてほしい、世界をよりよくより住みやすいところにするうえで、地球上に住む七〇億の人々以上にすぐれたリソースは他にないのである。
当然ですね、インターネットは全世界を結びパソコンのみならずスマートフォンで様々な情報にアクセスし接続されています。
今日スマートフォンやタブレット端末で結ばれた人々は、世界のどこにいようと、同じ情報源やコミュニケーション媒体の多くにアクセスできる。オフィスや家にいながらにして、あるいは移動中に、ウェブで検索しウィキペディアを閲覧する、世界で最も優秀な先生たちが教えるオンライン講座を受講する、ブログやフェイスブックやツイッターで意見や情報を共有するといったことが簡単にでき、しかもその大半が無料だ。
色んなアプリケーションを通して世界がつながっている。
わたしも技術情報を勉強する時に英語の情報を見る時も多いが、Googleの翻訳のおかげで世界中の文書を読むことができる。
IT投資はすぐには回収できない
21世紀に入って最初の五年間に、イノベーションと投資の第二波が押し寄せる。このときに主な対象となったのは、コンピュータのハードウェアではなく、アプリケーションやプロセスだった。たとえばドラッグストア・チェーンのCVSは、処方薬の注文処理が不評であることに気づき、簡素化に取り組んだ。エンタープライズ・システムにいくつかの手順を組み込んだ結果、全米四〇〇〇店舗どこでも再注文が用意に行えるようになり、顧客満足度の大幅上昇ひいては利益の拡大につながっている。エリックとロリン・ヒットが六〇〇社以上のデータを調査した結果、ソフトウェア投資を行った企業では、五〜七年後に生産性が顕著に伸びていることが分かった。補完的イノベーションによってIT投資が実を結ぶまでには、それだけの年数が必要だということである。企業はハードウェアに一ドル投資するごとに、ソフトウェア、トレーニング、業務プロセスの再設計に九ドルを投資しなければならない。
ソフトウェア投資したとしてもその回収にはそれなりの年数がかかるし、そのソフトウェア投資により他のものにそれ以上投資が必要というデータだ。
この値はソフトウェアにより変化すると思われるが、ソフトウェアに合わせた組織の変更にはそれ以上の投資が必要だということだ。
GDPの限界
いまやウェブ上に掲載されているデジタルの文字情報や画像情報は、一兆ページを超えているという。デジタルの情報は複製コストがほとんどかからないうえ、瞬時に全世界に送信できる。しかもデジタルのコピーはオリジナルと完全に同じだ。従来とはまったく異なる経済が出現したのであり、計測方法も考えなおさねばなるまい。出張中にスカイプで子供とおしゃべりしても、GDPは一セントも増えない。だがこれが無価値であるはずがない。いままでどれほどお金を払っても手に入らなかったモノやサービスが、それも無料で、次々に出現している。
わたしはGDPとかの話とかはどちらというと苦手な方だがいいたいことは何となくわかる。インターネットやサービスの発展により移動時間や料金の節約にはなってるはずなのにGDPには何も反映されてないのだ。
また無料のサービスであればあるほど何も売れないのでGDPには貢献できないのだ。
セカンド・マシン・エイジの新技術を効果的に活用するためには、まずもって仕事のやり方を変えなければならない。たとえば、数百万ドル投資してERPシステムを導入したら、ビジネスプロセスの変更にはその三〜五倍のコストがかかる。それでも、システム投資は一国の資本ストックに加算されるが、ビジネスプロセスのほうは一般に資本としてはカウントされない。こちらのほうがハードウェアより長持ちするにもかかわらず、である。
システム投資より、ビジネスプロセスの変更に何倍もかかるにかかわらずGDPには何の反映もされないのである。
おまけにハードウェアについてはGDPには反映するのにかかわらずだ。
おまけにハードウェアは約5年で買い替えが必要で、おまけにGoogleのデータでは約1%のハードウェアは故障する。それに比べてソフトウェアは故障などしないし、ハードウェアよりも長持ちする。
セカンド・マシン・エイジの格差
ここでは写真に関して数字化してくれている。
最初の写真が一八三八年にパリの混雑した通りで撮影されて以来、人類が撮ってきた写真の数は三.五兆枚に上る。ごく最近まで写真の大半はアナログだった、しかし二〇〇〇年をピークにアナログ写真の時代は過ぎ去った。写真のデジタル化の影響はすさまじく、一九世紀に撮影されたすべての写真を上回る数が一分おきに撮影されているという。
デジタル化によって撮影が簡便になり、のべつ写真が撮られるようになっただけでなく、写真の生産と流通にも大きな変化が起きた。画像共有ソフトの登場である。たった一五人のチームが開発したインスタグラムを介して、一億三〇〇〇万人が一六〇億枚もの写真を共有した。そして創業から一五ヵ月で、インスタグラムはフェイスブックに一〇億ドルで買収されている。そのフェイスブックは、二〇一二年の時点でユーザー数が一〇億人に達したが、従業員数は四六〇〇人、エンジニアは一〇〇〇人に過ぎない。この数字をかつての写真の雄コダックと比べてみよう。考えてみればコダックも、写真の共有を可能にした企業だった。コダックは、一時期は一四万五三〇〇人を雇用していた。ファースト・マシン・エイジには、それだけの人手が必要だったのである。
同社の創業は一八八〇年である。しかしそれから一三二年後、コダックは破産申請に追い込まれる。
大量に撮影され共有される写真の変遷は、一面ではセカンド・マシン・エイジの恩恵を雄弁に語ると言えよう。しかしセカンド・マシン・エイジは、もう一つの結果も引き起こす。それは、格差だ。セカンド・マシン・エイジはなるほど写真の宝庫を出現させ、毎年四〇〇〇億枚近い写真が共有されるようになったが、インスタグラムやフェイスブックなどが雇う人間の数は、かつてのコダックの十分の一以下だ。にもかかわらず、フェイスブックの時価総額はピーク時のコダックの七倍を上回っており、結果的に少なくとも七人の億万長者を誕生させた。
セカンド・マシン・エイジにより雇用数は減っているのに億万長者はでているこということだ。これは格差が大きくなってきていることが分かりやすい例の一つにすぎない。
一般に、多額のIT投資を行った企業ほど大規模な組織変革を実行している。しかしその効果が最大限に現れるまでには、通常五年から七年を要する。高スキル労働者の需要を押し上げるのは、こうした企業だ。投資効果が表れるまでにタイムラグがあるのは、システムの使い方に習熟するまでに時間を要するからである。単にシステムを導入しただけでは生産性は上がらない。新技術を活かすために組織や経営のあり方を見直すことが必要になる。IT投資には、創造性と組織変革・再設計が欠かせないのである。
これはわたしの仕事にあてはめてもすごく分かる話だ。何年後かに一度はどうしてもシステムを再構築する必要がある。システムを導入した当初は生産性が落ちるのも実感できるが、長く使って成熟するにつれ上手くシステムを使えるようになるのだ。
しかしこれには良いシステムであることが必要だ。
最強の勝ち組はスーパースター
参考:http://www.ibm.com/cognitive/jp-ja/outthink/stories/
テクノロジーは、デジタル化とグラーバリゼーションを通じて、ローリングのような人間の能力を最大限に発揮させる。「ハリー・ポッター」シリーズは出版されただけでなく、映画化され、ゲームにもなった。しかも本を含めてどのフォーマットでも、さほどコストをかけずに全世界に流通させることができる。いまやスーパースター小説家は、さまざまな経路を介して、さまざまなフォーマットで、世界数十億の読者や視聴者に容易にアクセスできるようになった。
しかもデジタル技術の工場に伴い、デジタル化されたコンテンツは一段と魅力的になり、ナンバーワンの収入が爆発的に拡大する一方で、セカンドベストは到底太刀打ちできなくなるという勝者総取りの傾向が強まっている。
二番手では駄目なのだ、セカンド・マシン・エイジでは必ず一番にならないと勝てない。これはソフトウェアについても同じことがいえる。
デジタル技術を使った直接的な経営が可能になれば、セカンドベストを切り捨て、ベストの人材を選抜することが一段と重要になる。経営能力のわずかなちがいが株主価値に大きな差を生み出すと信じられているため、企業は最高のエグゼクティブには、よろこんでプレミアを払う。企業の時価総額が大きくなればなるほど、ベストの経営者を据えるべき理由は強力になる。たった一つの決断が一%のちがいを生み出すだけで、時価総額一億ドルの企業が一〇〇億ドルに躍進するかもしれない・・・・・・・。
「デジタル技術を使った直接的な経営」については現在のIT技術では十分に可能になっている、それはテレビ会議システムであり、メールシステムなどだ。
これは未来のことではない、現在のことなのだ。
個人への提言
所与のルールからの推論や既存の例からの推測では、たしかにコンピュータのほうがすぐれている。しかしドクター・ワトソンが医療学習を完了した後もなお、人間の寝台が必要とされることはまちがいない。
ドクター・ワトソンと人間のドクターがチームを組むほうが、それぞれが単独で診断を行うよりもはるかに創造性も信頼性も高まるにちがいない。未来学者ケビン・ケリーの言葉は、このことを端的に言い表している。「将来的には、うまくロボットと一緒に働ける人ほど高い報酬を得ることになるだろう」
セカンド・マシン・エイジに人間が貴重なナレッジ・ワーカーであり続けるために、私たちは次のことを提言する。読み書き算数だけで終わらず、発想力、広い枠でのパターン認識能力、複雑なコミュニケーション能力を養うことだ。そして可能な限り、自己学習環境を活用するとよい。この環境が、先に挙げた三つの能力を養ううえで効果があることは、過去の実績が証明している。
いくらコンピュータが発達したとしても人間が必要な場面は必ずあるのだ、その為に必要なのはコミュニケーション能力や勉強していく環境なのだ。
絶えず勉強し進化しようとしている人間がこれから先も必要になるのは間違いない。
政策提言
先生の報酬を高く、責任を重く
教育の研究から発見できる確実な事実の一つは、先生が重要だ、ということである。よい先生が与える影響の大きさは、どれほど強調しても足りないほどだ。経済学者のラジ・チェッティ、ジョン・フリードマン、ジョーな・ロコフがアメリカの小学生二五〇万人を調査したところ、よい先生に当たった生徒は、そうでない生徒と比べ大人になってからの取得が多く、大学進学率が高く、十代での妊娠が少ないことがわかった。
とはいえ、新しい教育技術の活用に関しては、現実的にならなければなるまい。現在すでに利用可能なオンラインの教育リソースから最大のメリットを享受できるのは、まちがいなく、やる気満々の自学者である。
わたしの長男は小学生の時によい先生にめぐりあうことで、中学校から受験することも決めて、小学校の先生を目指すことになった。今は大学の教育学部に通っており、何年後かに先生になることだろう。
よい先生が与える影響がさぞかし大きかったことだろう。
クイズに勝ち、医療の現場にいるWatsonだが、なんと幼児教育にも進出するということだ。
ワトソンが幼児教育?どんな人が育つのだろう?!
IBMの人工知能Watsonがセサミストリートとタッグ。新しい幼児教育を提供 https://t.co/HP3ydU5Slq— 石本 博昭 (@h_14book) May 6, 2016
AIが教育にも入ってこようとしているのだ。AIが幼児教育する・・・、いったいどんなことが起こるのか想像もできない。
長期的な提言
マシンとペアを組む
結局のところ、セカンド・マシン・エイジとは終わりなき自動化の時代であって、人間の仕事がほどんと、あるいはまったくなくなってしまうポスト労働経済なのではないか、と。
たしかに私たちは本書の中で、多くの分野がそうなると論じてきた。だが、人間には自動化されないスキルがたくさんあることも示してきたつもりだ。
コンピュータが人間より秀でた瞬間に人間が役立たずになると考えるのはまちがいである。マシンに対抗するのではなく、マシンとペアを組むなら、もっといろいろなことができる。
Googleが月間一〇〇〇億回の検索を実行するアルゴリズムの微調整を行う際には、人間の評価担当者の力を借りている。
アルゴリズムが改良されると言っても、独力でそうなるわけではない。ここには、未来の仕事のやり方のヒントが隠れている。
アマゾンは数年前に、サイトの数百万に上る商品説明のページにかなりの重複があることに気づいた。アルゴリズムだけでは、それらを全部見つけ出して削除することはできない。そこで重複の可能性の高いページを人間に教えるソフトウェアを社内で開発し、削除するかどうかの最終判断は人間が行うことにした。そしてこのやり方はきわめてうまくいったのである。
この他にもクラウドソーシングや、エアビーアンドビー(Airbnb)の他、マシンとペアを組んで成功した事例がいくつも紹介されている。
マシンだけで仕事をこなせる部分はとって変わられるが、逆にできないことも増えるのではないだろうか?また人間にとっても新たな仕事のチャンスがあるような気がしてならない。
テクノロジーと未来
私たちはどこへ向かうのか
長期的にほんとうに問題になるのは、経済を成長させることではない。機会がこなす仕事がどんどん増えてきたら、人間は仕事以外のことに使える時間が増える。娯楽やレジャーばかりでなく、発明や発見、創造や生産、そして愛や友情や助けあいといった、より深い満足が得られることに時間を使えるようになる。こうした価値を測定する尺度はまだないーいや、これからもずっとないのかもしれない。だが、基本的なニーズが満たされるにつれて、こうした価値の重要性が高まることはまちがいあるまい。ファースト・マシン・エイジがエネルギーの力を解き放ち物理的な世界を変える役割を果たしたとすれば、セカンド・マシン・エイジは人間の創意工夫の力を解き放つと期待できる。
コンピュータの進化はものすごいスピードだ。しかし私達人間も進化していかなければならない。必要なのはいつも勉強だ。
わたしもわたし自信が進化していくために、この先も勉強し続けていく。
とても良い本なのでぜひ読んでみてください。